くろりだいあり〜

中央省庁の中の人による雑記ブログです。

愛と涙の19兆円

5000兆円欲しい!!!!!!!

ってワードがバズったのはもう何ヶ月前のことだったか。
いかにも小学生が口にしそうな安直でバカバカしい金額はTwitter民の心を掴んで離さなかったのか、一時期のTLにはこの金額が毎日のように流れてきていた。

僕だって5000兆円欲しい。
冷静に考えてあと仮に100年生きるとしても1年に50兆円も使えるわけで、50兆円あったら何ができるかなんて想像することすら出来ない。
でかいテレビと美味しいご飯が炊ける炊飯器とPS5を買って俺は満足するかもしれない。

ただ、我々庶民には魅力的な「兆」という単位も国単位で見ればカツカツの金額になってしまう。

令和2年12月15日、政府は第3次補正予算案として19兆1761億円を計上し閣議決定した。

(※補正予算というのは令和元年度時点で予め令和2年度の国家予算は決めていたものの、コロナ等の予測外の出来事で金が足りなくなったため、令和2年度に追加で積み上げる国の予算のこと。)

これがどれだけデカイ金額なのかは、2000年代に入ってから補正予算が2兆円を超えたことがなかったという事実でお分かりいただけるだろうか。
これはマジで額として過去最大級。
そもそも第1次補正予算で25兆5655億円、第2次補正予算で既に31兆9000億円を計上済なのでこれらと合わせるとなんと約76兆円という金額になる。
76兆円。さっきの5000兆円の年割シミュレーションで想定していた額よりももっとでかい。これは凄い。

なのに

それだけあっても

今の日本の現状を見ればわかる通り充足している金額とはとても言えない。

国を支えるために必要となる金の量というのはそれほどまでにえげつないということがよく分かる。

ただ、この額を積み上げるためにも霞ヶ関の住民は知恵を限界まで絞り上げている。
ただでさえコロナで予算繰りが厳しい中、いかにして未曾有のパンデミックに対応するか、各省庁の各部局がウンウンうなって深夜まで残業してつくりあげた成果が76兆円なのだ。

今回はそんな補正予算の内訳について軽く解説しようと思う。
ちなみに、第1次と第2次補正予算は既に執行されて使用されている金額なので今回の解説には含めない。もう給付金とかGotoトラベルとかニュースでもやってたでしょう。あれが第1次、第2次の目玉政策だった。
今回はこれから執行されていくことになる第3次補正予算案の19兆円の中身の解説をする。

まず初めにお伝えしておきたいのだが、第3次補正予算案の中身は全部が全部コロナ対策っていう訳では無い。
今この国はコロナばかり騒がれているけれども(それは当然なんだが)、最優先課題としてコロナに対応しつつもポストコロナを見すえた経済対策や、いつ起こるとも分からない大災害に今のうちから備える必要がある。

このことから第3次補正予算案の中身は大きな3つの柱で成り立っているわけだ。この3つの柱というのが以下の通り。

第1の柱:新型コロナウイルス感染症の拡⼤防⽌策
4兆3581億円

第2の柱:ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
11兆6766億円

第3の柱:防災・減災、国⼟強靱化の推進など安全・安⼼の確保
3兆1414億円

この金額比率からなんとな〜く現政府の優先課題が見えてこないか?その是非を論ずる気はまるで無いけど面白い傾向は確かにあると思う。
あんまり突っ込むと右だの左だのうるさい話になってきそうなのでこれくらいにしておくとして、それぞれの柱の中身を見ていこう。

とはいえ全部の柱の中身を細かく見ていくと、キリがないので、今回はダイジェストで紹介する。
詳しく知りたいなら財務省のページから適宜確認してください。

まず、第1の柱
新型コロナウイルス感染症緊急包括⽀援交付⾦(病床や宿泊療養施設等の確保等)〔13,011億円〕
新型コロナウイルスワクチンの接種体制の整備・接種の実施〔5,736億円〕 等

Twitterでもニュースでも医療従事者への支援が声高に叫ばれている昨今において、この緊急包括支援交付金はまさしくその人達のニーズに応える予算だろう
医療崩壊なんて起きたらたまったもんじゃないし助かる人も助からなくなってしまうので、早く病床の確保に急いで欲しいものだ。

続いて第2の柱
カーボンニュートラルに向けた⾰新的な技術開発⽀援のための基⾦の創設〔20,000億円〕
Go To トラベル〔10,311億円〕
Go To イート〔515億円〕 等

カーボンニュートラルってなんだよってなる人が多いと思うので簡単に説明すると、地球温暖化や異常気象の原因になってる二酸化炭素排出量を0にしましょうという試みのこと。
コロナと何の関係もねーじゃん!ってなる人もいると思うけど、

はい、関係ないです。

コロナとは全く無関係に地球の環境保護は大事なので仕方ない。
え?こんな時に補正予算で措置すんなって?
ぶっちゃけ僕もそう思います。(カーボンニュートラル関係の事業に携わる部署なのでありがたいけど…)

あとGotoね、これどうなるんだろうか、年末年始中止になっちゃったし、今後の動向が気になるところだ。
これは完全に個人の感想だけど、国の金で旅行に行きたいので続けてください、ぜひ。


では最後に第3の柱
防災・減災、国⼟強靱化の推進(公共事業)〔16,532億円〕
⾃衛隊の安定的な運⽤態勢の確保〔3,017億円〕

ここは防災体制の強化に特化してるところです。
日本は地震多いし台風もしょっちゅう来るし、これは正当な予算だと思っている。
国土強靭化推進のところは僕のラインも2億円ほど要求してます。マジで大事なので。

と、ざっくりとした紹介にはなったけれども、第3次補正予算案の中身はこのようになっている。
ニュースでチラッと聞くだけだったかもしれないけれど、自分の収めた税金の使われ方を知っていただくキッカケになれれば幸いです。

今回はこのあたりで。みんなもコロナに負けないでね!(雑な締め)